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指間流砂滑過

思いついた

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思いついた


 防備担当の家老が言う。
「本当に見失ったのかな。めんどうくさくなったので、切ってしまったのではないかな。あるいは、相手に気づかれ、てむかってきたので切り殺したのでは。切ったはいいが、死体を調べて、他藩のれっきとした武士とわかる。となると、藩に迷升華在線惑の及ぶのを防ぐため、その尾行者
、自己の責任で見失ったと言いはることになるぞ」
「たしかに、あの部下はお家を思う念が強いからな。ありえないとはいえぬ」
 迷いはじめる町奉行に、寺社奉行が言う。
「いや、その武士にうまく言いくるめられ、買収されたとも考えられますよ。まじめな人物ほど、だまされやすい。そのすきにつけこまれ買収されたとなると、帰って事実を報告しにくい。見失ったとでも言うほか……」
「なにを言うのです。わたしの部下はそんな性格ではない」
 城代が言う。
「貴殿の責任で断言できるか」
「ええと、そうなると……」
「断言してもらったところで、見失ってしまってはどうにもならない。ああ、またもなぞのままだ。判定を下そうにも、そのもととなる材料が、いまに至るもなにもないのだ」
「そこに隠密側の作戦があるのか染髮もしれません。松蔵は一味のおとり。あいつに皆の注意が集中するようしむけておき、そのすきに、隠密仲間がもっと大きな仕事を進行させているのかもしれない。松蔵はただ目立つように、意味ありげに泳ぎ回っているだけです。現実にはなにも
しなくていい。だから、われわれがいかに調べようとしても、なにも出てこないのです。こういう考え方はどうでしょう」
「ううむ。ありえないこととはいえないな。専門の隠密ともなれば、それぐらいの作戦はたてるかもしれない。しかし、そのすきに、どのような大仕事をたくらんでいるというのだ」
「そこまでは見当もつきません。わたしはただ可能性をのべたまでで」
「いいかげんにしてくれ。不安だけが高まり、ますます泥沼にはまりこんでゆく……」
 城代家老は悲鳴をあげた。

 そのつぎの会議の時、人事担当の家老がこんなことを言いはじめた。
「いままでだれも発言しなかった、あることを。松蔵は隠密は隠密でも、幕府のそれではないのかもしれない」
「またも新説が出ましたな。で、どこからの隠密だというのです」
「ちょっと言いにくいことですが……」
「気をもたせないでくださいよ。重大問題なのですから」
「つまりです、われらの殿に直属している隠密。殿は参勤交代によって、一年おきの江戸ぐらし。留守中の藩政のことが気にもなりましょう。おざなり輪證追蹤の報告文書によらない、その実態を知りたくもなりましょう。留守中、目のとどかないのをいいことに、家臣たちがいいかげんな
ことをやるかもしれない。その監視役を作りたくもなる。幕府の隠密の私的な小型版です。そのため、庭師を江戸でやとい、ここへ送りこんだのでは。松蔵が江戸を出てここに住みついたのには、なにか理由がなくてはならない」
「ううむ」
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